まったくの素人が独学で生み出した「北九州一の醤油ラーメン」
それは九月だった。
あやしい季節だった。
‥‥と始めてしまうと志士さんじゃなく「一風堂」さんのラーメンブログを書かなあかんようになってしまうので、もとへ。
2018年九月下旬にインスタで八幡の老舗ラーメン店「貴龍」さんの感想をUPした際に、あるラーメン屋さんから“いいね!”を頂きました。
プロフを拝見するとウィットに富んだ文章、一見しただけでセンスの良さと旨さが伝わってくるラーメンの画像が並んでるではありませんか。
それが「らーめん志士」さんとの運命の出逢いだったのです。
私は豚骨ラーメンも好きですが、醤油ラーメンも大好きなので「北九州一の醤油ラーメン」との評価が高いこのお店にとても興味を抱きました。
しかし引っ越してきたばかりで戸畑区中原というのがどのあたりなのか見当も付かず、食べに行くのは難しいかな‥‥
と、思いはしたのですが、その後らーめん志士さんから“いいね!”を頂くたびにお礼訪問で志士さんの投稿を拝見し、上質な自虐を交えたユーモア(みうらじゅん氏に通じるような)あふれるその文章にどんどん引き込まれていったのです。
まさに「人の理性を狂わせる魔性の」ラーメン屋さん(笑)
とうとう我慢できなくなった私は翌月、JRに乗って九州工大前駅まで行くことに。
駅前の悪書追放ポストに
「今時こんなのあるんだ?どんな本が入ってるか見たい観たい視たい」
と目をひきつけられながらもお店までの道をひたすら歩きました。
おお!見えてまいりました!
ラーメン屋さんとは思えぬスタイリッシュな店構えと「北九州の醤油ラーメン」のコンセプトをシンプルかつ力強く訴えた提灯が!
店内は落着いた感じで照明も控えめですが、むしろホッとさせる温かみを感じさせてくれたその理由は、店主ご夫妻の丁寧で優しい接客応対でした。
朗らかで笑顔が素敵な奥様はお客様にかける言葉のひとつひとつに心がこもっていて、気配りが細やか。
「今茹でてる分の後になりますので、すみませんがもう少しお待ち下さいね」
など、一言有るか無いかで待っているお客様の気持ちがずいぶん楽になる配慮を自然にして下さいます。
店主さんは自らが丼を抱えて厨房から出てテーブルまで運んで下さり、心を込めて「お待たせしました」と差し出して下さいました。
目の前の醤油らーめんは、芳しさと共に麗しいまでのきらめきをたたえて私を誘います。
スープの口当たりはあくまでも優しく、それでいて滋味深く、旨みが大きく広がってきました。
麺は醤油ラーメンにありがちな中太縮れ麺ではなくストレートの細麺でスープをうまく絡めて、適度な噛み応えとなめらかな喉越しが心地良ささえ感じさせます。
チャーシューは箸で挟むとしっかりした感触ながら、口に含むとなんともほどよい柔らかさでほろりととろけていきました。
そしてネギの甘いこと!シャキシャキしていてなんとも美味しい。
さすがは北九州一の醤油ラーメン。一口目から最後の一滴まで飽きの来ない端正な逸品でございました。
その後、この感動を分かち合わんと家族を連れて来訪。
ピリ辛らーめんを食べた夫も、
志士塩を食べた息子ももちろん大絶賛で、
私は志士醤油を満喫!
チャーシュー丼まで皆で残さず美味しく頂きました♪
その折に味見した塩らーめんの美味しさに、とんでもない衝撃を受けた私は1ヶ月も空けずに再訪して志士塩を注文し、この「滋味掬すべき一杯」に感動しながら平らげたのでした。
卓越した美味しさのラーメンがあるお店って、ややもすれば違う味の種類は劣って感じさせることもありますが、その後食べたカレーらーめん(現在は提供無し)にしても本当に美味しくて、何とバランス感覚に優れた店主さんなのだろうと尊敬の念を強めました。
しかもどこかの店で修行されたというわけでなく、まったくの独学でラーメン作りを行い、店を開業するに至ったとお聞きした際は震えるほどの感動を受けましたよ。
開業に至るまでのエピソードが大変興味深い内容で、また奥様の語り口が私のツボにはまりまくりで抱腹絶倒ものでした。
(あまりに笑いすぎてお腹痛かったし涙まで出ました)
「ホネをください‥‥」
特にこの名フレーズは中島みゆきの「狼になりたい」における“ビールをください”に匹敵する破壊力!
これはぜひとも皆様にこの感動を伝えたいと思い、別途インタビュー記事(下記参照)にてご紹介予定です。
私が北九州に移り住むことになったのは、らーめん志士さんご夫妻との出逢いのためであったのだと心底思っている今日この頃。
麺結びの神様に心から感謝でございます。←志士さん口調
(初出:2019年2月、2024年10月加筆)
らーめん志士さんインタビュー記事はこちら ↓
志士道 ~ らーめん志士のものがたり 其の一 ~
志士道 ~ らーめん志士のものがたり 其の二 ~
志士道 ~ らーめん志士のものがたり 其の三(終) ~